街占物語      

 今夜から街占はY市で行うことになった、そしてもうひとりの占い師も車に乗せて行く事になり少
し重荷になるが師匠の頼みであるから仕方ない。

 ここY市は温泉が有名であり人々の日々の疲れを癒すとともに人情も篤く名産品も数多く揃い、人
の心に親しまれる豊かな観光地である。

すぐに出店の場所を決めるとともに人々の動きを見てみると温泉に行く地元の人達に交じって観光客の行き交う姿も見られるし、歓楽街へのお客の行き来もそれなりに多くある。しかし熊本市の歓楽街に比べるとその差は歴然であるが師匠が好まないこともあって、ここY市でしばらくく行う事にした。

 夜も8時を過ぎたころ訪れた中年の御婦人、「見てください」と言いながら手を差し出す。
 街占では手相が主流であるが自分としては他の例えば霊視であったり、姓名判断であったり、易占でも構わないのである。
 要は相談者のお質ねに正確に答える責務があるのである。そのためには手相だけでは無理が生じる。

 いつだつたか浮気相手の年齢を手相で28歳と言われたと聞いたことがあるが、よくもそんなに簡単に人を相談者を騙せるものだ、 とんでもないヤカラが街に潜んでいる。
「閑話休題」

 そしてその中年婦人、やはり受験を控えた息子の事が心配で相談しに来たのだ。お顔を拝見して見ると今出している手の運命線及び子供線のように子孫宮は明るくピンクをしている。 また校門の両側に石柱が見えるので、
 「大丈夫ですよ、校門の両側に石柱の建つ高校に合格すると出ていますから安心して下さい」と伝え
ると、
 「そうなんですか、実は希望している高校に石の門柱がありますがそこなんでしょうか? それでしたら嬉しいですね」と言われるので、
 「心配いりませんよ、石柱あるのであればそこだと思います」と答えると、
 ありがとうございました」とお礼を言われて帰って行かれた・・・・




 続いて来たのは頭とのこと、どんな相談かと聞けば妻のことだと言う・・・・
顔には焦りの色がヒョッコリ顔を出す。
どうやら当てて欲しいようだ・・・そこで
 奥さんの心配が顔に表れていていつ行動するかと待っていますが、ほんとは辞めたくはないのでしょう?」と言えばズバリのようで、

 「どうしてわかりますか?」と言う。

 仕事で中央と意見が合わなくなり辞めるしかないのかと考えていると」言う・・・・・ そこで占断してみるとこのまま進んで行くべきとの答えが得られたので、
 「いろいろありますが辞めずにこの儘前に向かって進んで行くことです、あと2年すれば形態が変化して行きあなたに味方が来ることになりますから」と伝えたら、
 「ほんとにそうなるのであればもう一度頑張ってみます」と言い残し帰って行かれた・・・・。

 組織のなかで仕事をするのは廻りにも気遣いすることが多く疲労も溜まるが、視点を変えた見方や考え方をすれば解決することも多い。

 それから相談者も15人来て時計を見るとなんと午前2時近くなっているではないか、先で観ている彼はまだ相談者がきていた為車を出しに行つた。元の所に戻ってみると彼が帰る準備をして待っている姿が見えたので、一緒に車で帰った。
ここY市での街占はそれなりにファンもできるがいかんせん遠くまた思うように売り上げが伸びない、霞を喰って生きて行く訳にはいかないのだ。その為には、やはり熊本市内で行うしかない、
 今夜でここを切り上げて明日からまた下通りで始めようと考え準備を調え行動することにした。ただ気になるのは師匠のことである。
 こちらが出せば同業の存在になり面白くないだろう、あまり刺激しないように離れた場所で行うべく場所の選定をしてその日は帰ることにした。


そして次の日に新市街に近い場所に出店した。早い時間でもあるためまだ誰も出店していない、もちろん師匠も・・・・・・
 しかし直に知れるだろう・・・・その時はその時と考え相談者を待っていると、

 「こんばんは、いいですか?」と若い女性のお客である。 やはり人口の差は歴然である、

 「はい、何を観ますか?」と聞けば、
 「オ-ディションを受けたのですが合格しますでしょうか?」と言う、そこで、わかりましたと言い今回は断易で見てみると合格と出た。
  そこで、心を込めて

 「大丈夫ですよ、見事に合格します」と答えると、
 「本当ですか?良かったぁ!」と、とても嬉しそうにその笑顔を満面に浮かべて返事をした。そして見料を手渡ししたあと人混みの中に消えて行った。その内テレビ・映画でデビューする日が来ると見た。



 それからお客を待っていると突然鳴り響くパトカ-のサイレン、何台も何台も来る、これは大事件だなと思いそのパトカ-の行き先に目をやればやはり事件である。それも抗争事件である。このことでここ下通りも大騒動となり仕事どころではなくなり今夜は早仕舞いとなった


翌日は少し遅れて出したここ下通り商店街、古巣に戻ってきたのだがそれなりに気を遣うことも多い。だが相談者が目の前に立てば余計なことは忘れてしまい目の前にいる相談者への最良な方向を考えることしか頭には浮かばない、

 目の前を歩いて通り過ぎて行く着飾った若い女性、家族連れであろうとおぼしき買い物帰りの人達、楽しそうにウインドを覗き込む学生達、金曜に土曜や日曜は街の人通りも数倍になるため我々にとっては稼ぎ時となるのだ。

 ただ、今現在の下通りはお客を郊外の大型店に奪われてしまい空き店舗も増え賑わいを見せるのは一部の店だけのようである。当然と言えば当然であろう、サービス業のくせに客の心を摑んでいないし熊本の殿様商売がモロ出てる。

 さてそんなことはどうでもよく此方は稼ぐためにここに出しているのであるしサービス業ではないから。

  夜も10時を過ぎた時間、目の前に女性の二人連れ、ここに来るまでは考えた挙句決断したであろう、
 「見て下さい」と元気な声。そして目の前に片方の女性が手を差し出す。軽く手をとり手相での相談となるがこの女性、運命線がまっすぐに延びている、しかも力強い相なのだ。 これは若い内から働き運が強く努力家の相でもある。
 ただ余り男に頼って生きて行くタイプではない。

 その事を告げると
 「そうなんです」と返事した。しかしその目の奥に見えるあるもの、それを言わなければ仕事のプロとはならないであろう、そこで
 「いきなりですが、いつから着手しますか?」と伝えると、
 「えっ!」と感嘆の声を挙げて、
 「どうしてわかったんですか?」と聞くので、
 「貴女の顔に書いてありましたので」と返事した。

 やはり運命線が強い人は女性でも職業婦人となり易い、男性よりも仕事を選ぶ傾向がある。的中させたことで開業する飲食店の屋号の選定に移って行った、ここ熊本下通りであった。


▼最近ネットで見かける占い批判であるが、根拠の無いことを言い金を取るとか、書いている者がいるが根拠はある、
 占いでもそれをごちゃ混ぜにして見ている、雑占までも占いと思う者の浅慮、見苦しさ、昨日まで詐欺集団の仲間にいて
今日は占い屋
専門知識も持たずに占いを副業でして人を惑わす女、何でもありの世の中。

  だから戦後、占いを職業とするには国の許可がいる時代・制度が設けてあったのだ。

▼自慢する訳ではないが相談・占いに行く先を間違い路頭に迷う人、占いは皆同じと馬鹿にする人等助ける義務も考えもない。
 また、こちらを信じてもらう必要もないのである。




続く


旅占(日切物語)

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