今夜は少し遅くここ下通りに出店した、なぜなら師匠も亡くなり未だ自分の心の
傷は癒えず余計に虚しさが襲うからでもある。しかしこの仕事は人の悩みは聞くが
自分の悩みなど誰も聞いてはくれず、それどころか、仮に人に相談すれば
「それ視たことか」と思われるのである。

 人の運命がわかる前に自分の未来を視れるのが占師なのである。


 さて今夜の最初のお客さんは女性・・・・・

 「私の将来はどうなっていますか?」との質問である。

 「はい、視てみます」と言い、この女性の顔を霊視したのである。

  しかし予想に反して意外にも答えは即出た,交際の問題がありそれを何とかし
たいらしい、その解決策を聞きたいのだと云うことがわかる。そこで、

 「貴女は今交際している人との関係を何とか改善したいのですね、顔に書いて
ありますが」と
言うと、驚嘆の声を挙げ、
 「どうしてわかったんですか?」と言うので、「わからないでは詐欺と言われます
からね」と笑いながら答えたが、深刻かなとも思う・・・・・

 そこでまた御神仏の真言を唱えると、答えは示された・・・・そして、

 「貴女は何事も自分のことが中心になっていて、この男性のことを大事に・大切
にしていないために、この男性が貴女から離れて行くようです、この儘ではとても
危険であり、別れる未来が視えます」と答えると、

 この女性の相談者が悲しそうにしたので、その点を汲んでまだ大丈夫と読んで
 「今夜でも話しをするために会う連絡をした方が良い]ことを告げ、約束の場所
に向かう姿を見送ることになったのである。



 
次回は良い報告をしてくれると確信した今夜の相談者であった。


 そしてまた次の相談者、男性であるが何か思いつめているのがわかる。ここは
街と言っても一番の歓楽街、飲み屋に風俗、ピンクサロンなどがひしめき合って
いる。
そのせいか水商売関係や風俗関係の相談も多い。この人もそうと読んで女の娘
の相談とみた。

 「実は今親しくなった娘がいるのだけど、今後この娘とはどうなりますか?」との
質問である。
 
 店に何回も通い続けて店外デートもできるようになったけど今ひとつその娘の気
持ちが掴めないのだと、言う。そしてその店は、
 「風俗でしょう」と聞くと、「その通りだ」と言う。

 風俗も飲み屋も客が来てなんぼの世界であることには変わりはない。しかし時
として男はのめり込んでしまう傾向がある。

 今までも風俗で働く女の娘の相談も何百人?とうけてきた、そしてその本音も聞
いてきた、だけど仕事としてやっているから女は割り切れるのだ、
 しかし男にはその事が割り切れない者も多い、女が少し優しくすると男は、俺に
気があるのではないかと思うようだ。だが男が皆そうではなく、中には割り切れない
男がいるのも商売故仕方のないことでもある。

 また、年齢を重ねたことで若い女性との出会いもない人は、その行く先は自然と
性風俗になることも多いようだ。

 
そこで乞われる儘断易で観てみると、相手はやはり金銭目的であることが出て
いる。

実際この相談者は金銭面では裕福のようで、女もそのことがわかっているため
今日をむかえたのであろう。そこで、

 「この女性は優しくてきれいな人のようですが性格は金銭中心ですので、金銭
などでしか男性を謀れることができません、そのうち貴方はのめり込んで行き最終
的には警察の厄介になるようです。気持ちを割り切りもう少し自分を取り戻して行
かないと大変だし、このこからも嫌われていきますよ」と伝えた。すると、

 「本当か、もしそうなら腹がたつが・・・・」と言い、
 「そう言えば約束しても何回も遅れたことがあるし、そうかも知れん」と言い、こち
らの占断に耳を傾けてくれた。そして聞き終わると見料を見台に置くとまた歓楽街
の方へと歩いて行った。

 誰でも孤独はきついし嫌だろうが、生まれてきたのもひとりなら、また旅立つのも
ひとり、輪廻転生仕方ないことではあるが・・・・・

 働く女性は仕事として割り切っているのだ、だが今までその逆の女性からの相談
も何件かある。男と女しかいない世界であるからその中で感情の高まりは起きる。
ただ女性の方が男性よりも簡単に割り切れる人が多いようだ。そして男は騙され
ながらもお金まで使う、
女の気持ちは他を向いていることも知らないで・・・・・・・・

 時計を見るともう午前3時である、どうりで眠い筈だ。今夜は帰る気はせず近所
の赤ちょうちんに行きしばしの時間で体に充電することにした街占であった。


 


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