龍神堂本部
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 ここ下通りで街占をするようになって早1ヶ月、少しはこの歓楽街の景色にも慣れてきた自分がいる。
熊本は保守王国と云われており、昔から閉鎖性の強い土地柄である。しかしどの街でも同じであるが
歓楽街や夜の街にはそれなりに足を運ぶ人は絶えない。
 そんな点をも踏まえ出店することにした、もちろん有力者の師匠の顔で.

 この街に出店した最初の日の出来事を振り返りながらこれより記してみる、時は昭和43年からであ
る。

 何時まで待っても誰も相談には来ない、1時間もすぎたと云うのに粗末な椅子に腰掛けていると腰が
痛くなる。やはり新しい顔のせいか誰もやっては来ない。そしてこれが閉鎖性の強い人が多い土地柄
と云うのも頷ける。

 時折通行人のそれも女性の口汚い言葉や占いなんて!の言葉も聞こえてくる。
 ネット等ではよく馬鹿にした言葉を見るが、口汚くののしる男女こそがその哀れさを内に持つ故に、
我々の前に面と向かって言うことなどできはしないようだ。

 何しろ占いを統計学などと言う蛙捕もいるのだから驚く、いつから統計学になったのだ。本屋で読ん
だ占いの本を見て占いをする者もいるくらいだから、しかも金までもらうのだからこれにも驚く。

 昭和の初めに占いは国の許可がなければ出来ない時代があったのだが、いまではそれも無くなり
何時でも誰でもできる。
 雑占の類いは別として「易」と「命理学」だけは統計学とは無縁のものである事をここに強く主張して
おく。


 話は元に戻るがもう今日は夜中の0時過ぎになり帰ろうかなとしていたところに突然のお客。よく見
るとお店のママさんである。

 「今日から出店と聞いていたのでかけつけたのよ」と言われる。 そこで一応お礼を言うが、来年の
お店はどんな状態か見てくれと言う。他にもお客がきたので何も考える余裕などなく第1号の記念す
べきお客さんのために断易にて占断すると、出たのは損の益である。世も応も財、しかも旺じて回頭
ノ生、大吉である。そこで、

 「来年は投資した資本も回収できるほど商売繁盛ですよ、方々からママさん目当てにお客がわんさ
かとやってきて嬉しい1年になりますよ」と答えた。すると、

 「ほんと、まぁ嬉しいことね期待するわよ!」続けて「ありがとう」と言われるので、こちらもこの記念
すべき日に来て頂き
 「ありがとうございました」とお礼を述べた。帰り際に封筒を手渡されすぐに見料とわかったが、受け
取れないと言うと、さっと机の上に置いてタクシ−の中に消えて行った。


 そして待たせていた次のお客に「お待たせしました」と言い何を観たいか聞いて見ると、
 「来年こそは良い出会いがあるか見て下さい」とのこと。わかりました、と言い占断を断易にて見て
みると、
 才財出現して日からも月からも旺じている、しかも来年は最大のチャンスとなる、これはもう決定だ
ろう・・・・・そこで

 「来年は出会いがあり交際の始まりの歳になります、そして結婚となりますよ」と自信を持って言うと、
 [えっ、そうなんですか、ほんとですか」と念を押すので、
 「間違いありません、そこらの統計学などではありませんもう決定しています」と言ったので、真剣な
顔が更に固くなり、そして次にはとても嬉しそうな顔と変わり、何度も頭を下げて、人混みのなかに見
えなくなって行った。

 そして時計を見てみるともう午前2時前になっていたここ下通りでの初めての街占であった・・・・・・



 ※占いなんて!の声も一部にはあるが、その声を質ねてみると答えがハズレていることもあるため
にそう言われる。
しかし占いをする人全てが皆同じではないだろう。本屋で読んだ知識だけで人の大事な運命を占う
占い屋から始まり、キチンと先生や師匠に学び年数を重ねて試験に合格したあと開業する者だって
いるのだ。しかしお客の側には鼻から信じない人も多くこれは遺伝だから仕方ないが、本人は占いや
予言を信じることもなく自分の心だけを信じる。
 それはそれで勝手であるが、本人が信じなくとも彼女や彼氏そして家庭の妻や夫、その子供がこっ
そりとやってくる。

 以前娘さんが占いで見てもらいたいとの気持ちがあったため当本部へ電話をしてきたが、そのあと
すぐその親が電話をしてきて色々聞かれたことがあった。、この事例など世間の傾向を示しているの
ではなかろうか。

 どんな人物がみているのか?どんなところか?と成人した子に対して子離れできない親も困りもの
だ。

 占いや真実の予言を馬鹿にする本人も、病床に就くと隠れて占い師や霊能者の門を叩くことを人
に頼んでお願いする、これが現実。 だからこそ、その期待を裏切ることがないように、外すことが
ないように日々努力をするのだ。
 占いを馬鹿にする者・占いを聞きに行く相手を知らなかったり、聞きに行く相談所を間違う人は信
じなくて其の儘人生終わればそれはそれで幸福ではないだろうか。
 人との出会いは全て縁であるから行きたくても絶対出会うこともない人生だってあるのさ。

 最近会ったこともない人から腕輪や開運グッズを買わされてその後の話を信じ込んで最終的に
何百万円から千万円と騙し盗られる事件があったが、よくも会ったこともない者が大金を出せ送れ
と言うのを鵜呑みにできるものだなと思う・・・

 これも人に相談したり人と話す機会がない今の孤独な世の中を表しているのではなかろうか


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