今日の街占は銀座通りで行うことにした。なぜならいつもの場所は工事があっていて通行も侭ならないためである。
 そんななか果たして相談者は来るのだろうかと考えるが、駄目なときには場所を移動しようと考えていた。しかしそんな心配は無用で出店するとすぐに相談者が訪れた。

 「こんばんは」と言い見台の前に立つ。年の頃30前くらいの女性である。顔には悲しみの相が出ている。
 「何をみましょうか」と聞いてみれば、「はい」と小さな声で返事したあと黙す。そこで、
 「今貴女は悲しいことがありましたね、それも交際のことでしょう」と断言した。すると、びっくりした様が顔に出て、
 「わかるんですね?」と返事をした。そこで、
 「もうここには20年近く出していますから何でもわかりますよ」と自画自賛すると、この相談者の顔には笑みが表れ、そして色々と話してくれたのである。
 交際して5年、結婚まで考えていた男性がいたが転勤となり外国に行くことになった。そのためついて行くかどうかと悩み考えたが両親の猛反対に遭い別れることになったと言う。

 5年も交際して反対する親も親と想うがこの相談者の顔に出ている悲しみの相は別れがこの男性だけではないことを示しているのだ、そして今それも告げようかどうしようか迷う自分がいるのだ。今それを告げれば更なる悲しみや不安をこの相談者に与えてしまう・・・
 またその悲運を的中させたとしても聞かれもしないことを答えて最後は憎しみが?残るかも知れない、等と考え自信はあるが告げないことにした。但し遠回しには伝えることにした。併せて断易でも占断してみると世爻休囚両親父母爻勢い無く壊れる容がやはり出ている。そこで、
 「この男性とは諦め切れないかも知れない象が出ていますが時間が解決して行くことになります、ただその間御両親の健康には気を遣うことも大事ですよ、反対はされても」と伝えた。すると、
 「ありがとうございました」と言うと見料を置き急ぎ足で下通りの人込みの中に見えなくなって行った。

 これで良かったかは気になるところではあるが自己の責務は果たしたと自分に言い聞かせて次の相談者の求
めに応じた。


 
「私の母が今病気をしていますが何時になれば良くなりますか?」との質問
 人間病気ほど辛いものは無い、金運がないのも辛いが病気はその比ではない。そこで、
 「わかりました」と言い断易で拝見すれば官鬼の勢いはまだ強いが先では弱くなり衰える象、そして父母も今は弱体ではあるが先では勢いを回復させてくる象が出た。そこで、

 「今は大変ですがあと3ヶ月もすると回復の兆しが出ますから心配いりませんよ」と答えると、
 「ほんとうですか?良かったぁ」と言うので、
 「それから貴女の家には椿の木がありますね、先では取り除いた方がいいです、障りをもたらしますので」とも伝えると、
 「そうなんですか?」と言うので、その取り除き方を教えたことで、来た時とは違う明るい顔になり、雨になりだした銀座通りを歩いて行く後姿になった・・・・・・

 それからここ銀座通りは雨の影響を受ける場所であり下通りは雨の影響はないが工事中でもあり今夜は早仕舞いして赤ちょうちんに行くことにした。




 今夜もまた何時ものように出店するここ下通りの歓楽街、しかし何時もの場所は屋台が数軒出店していた。仕方なく今夜の場所は栄通りへと移動することにした。
 熊本一番の歓楽街、BARにスナック、キャバレーピンクバーに風俗、そしてストリップ劇場・・・まさしく男の楽園の真只中での占い店の開店である。そして待つこと5分早速のお客さんの御到来である。
 「なんでもわかるか?」との質問もう飲んでいるのか息が酒臭い。しかしそんなことは言っていられず
 「はい、なんでもわかりますよ、当ててみましょうか?」と、つい余計な事を言うのでこのお客も、
 「当ててみろ」と言う。そこで、
 「今あなたは惚れたと云うか気持ちが傾いた女がいてこのあとその女の店に行きます」と断言した。
すると、
 「へ-ッ」と、驚嘆した声を出して、
 「歳は若いがほんとにわかるんだな!」と言い、
 「今後は俺とその女はどうなるのかみてくれ」との会話になり詳しくみていくことになった。


 それから次に来たお客はカップルである。どうやら女の方がかなり歳上のようである。相手の男は若き燕と云うところであろう。
 「あたしたちの相性わかる?」と聞いてくるので、
 「はい、わかりますよ拝見します」と言いながらこの男には他にも交際している女が見えたので、
 「相性はいいですが貴女があんまり束縛しすぎると仲が不安定になります、お互いにそこのところを理解していくことが重要ですよ」と告げ、この男に他の女がいることは伝えなかった。なぜならこの関係はそういう関係であるのが見え見えであるから。相性が良い事を聞いたからなのか、見台に料金を置くとこの二人は肩を組んで雑踏の中に見えなくなって行った。
 
 それから30人のお客が来て少しバタバタと忙しく相談・占断を繰り返し店を閉めたのは午前3時近くになっていたここ栄通りの歓楽街であった。




 
次の日もここ熊本銀座通りに占いの店を出した。時間がまだ少し早いせいかいつもの顔ぶれは見えない。
そのうち男女で数珠みたいに連なりやって来るだろう・・・そして見台をこの銀座通りの本屋の片隅に出した。
今夜は横の焼肉店からいい匂いに悩まされながらの開店となる。そしてすぐに、
 「見て貰っていいですか?」と丁寧な女性の声で相談が始まったのである。
 細く女性らしいしかもきれい過ぎるそしてしなやかな手に占い師の心が揺れ動く・・・?

 「貴女は今男性のことで悩んでいますね、しかもその男性は妻子持ちと出ていますが」と、占断すると、
 
 「わかりますか?」と言う。そこで
 「わかりますよ、もう15年も人の相談に乗っていますから」と言えば、
 「えっ」とびっくりしたようだ、こんな若い男が占い師に、とでも思ったのであろうが、
 「これは貴女の思うようにはいきません、早晩別れがきて傷つきますね」と言えば、
 「やっぱりね・・・・」と言い黙り込んだ。どちらにしろ女性の負けと見たのである。すると,料金を机に置くと淋しげに帰って行く姿は電車通りに見えなくなってしまった・・・・・




 次に来た相談者は水商売風の女性、体全体に女の色香満杯との表現が似合う程だ・・・
 そして
 「あらっ若い易者さんなのね!」と言う。
 「わかりますよね」と言えば、
 「以前から見てたのよ、若くてもあたしは大丈夫よ」とこちらに対して信頼の嬉しい言葉、これは頑張って占わなければと思い、何を占えばよいかと聞いてみれば、
 「あのね、お客さんのことだけど、最近お店に来なくなったのよ、その来なくなった原因と云うかわけが知りたくて来たのよ」との事。

 お客もこんなに多くの飲む店があればたまには浮気したくなる様が顔に現れているのを占い師が見逃す訳はなく、
 「はい調べましたが、これは他の店に別の気に入った子ができたのでそこに行っていますよ」と答えると
 「そのお店はどこかわかる?」と聞いてきた。そこまで知りたいのはこの二人が相当親密な関係である事が
わかる・・・そこで、調べて見るとどうやら階段のある店3階にある店とでたのでそれを伝えると、
なんと、
 「やっぱりね!」と言う。知っているのに占い師に聞いたのは当たるかどうかの腕試しであったのだろう、こちらもそんなことには慣れているのでなんとも思いませんよ、と心のなかでは叫んでいた。そんな気持ちを知ることも無くこの女性は、
 「じゃあ、これね」と言い見料を机に置くと飲み屋街へと消えて行った・・・店を教えた為今夜と明日は大変かな?とは考えた街占であった・・・・



 次の日はたそがれ酒場通りに出した、この場所は飲み屋街であるからして酒飲み人が多く本来酔客は酒臭く見ないのであるが師匠がうるさいのもあり仕方なく相手をする。まぁ酔客でも割り切れば客は客。15分もしないうちに相談客が来る、やはりもう飲んでいるのか酒の匂いがした。

 「みてくれないか?」と言う。
 「はい、体のことでいいですか?」と言えば、
 「見る前にわかるのか?」と言うので、
 「はい、なんでもわかりますよ」と言えば、
 「おぉ、そうか」と言う。どうやら体には病魔がきている容が見えたので、
 「今日はもう酒はやめて明日病院に行く準備をした方がいいですよ」と言えば、
 「やはりそうか・・・」と言い、的中である。自分でも身体に症状が現われているようで検査をしないといけないのは考えていたようだ。それを今若い易者から言われてまたその気持ちになったようだ。

 しかしこのとき見たのは死相も見えたのであるがそれは伏せてしまった今夜の街占・・・・・
 このお客、帰る方向は飲み屋の方向でありまた若い女の甘言に騙され大金を捨てるのであろう・・・・


 目の前を通行するのは酔客ばかり。今夜も女性の言葉を信じてクラブやBARに行きいい鴨にされる人もなかにはいる、ここたそがれ酒場通りの夜。続いて来たのはまた男性。身なりもきちんとしていてさしずめ会社の重役と見た。そして、開口一番、

 「どんなことでもわかりますか?」と言うので、
 「はい大丈夫ですよ」と言えば、こちらが若いこともあり、顔を真剣な眼差しで見たあと、
 「家の者が交通事故に遭い今弁護士にもたのんでいるがなかなか解決しないでいて困っているが今後どうだろうか?いつ解決するだろうかわかりますか?」と言う。
 話を聞いた後これは恐らく女弁護士で裁判にもって行くつもりであろうと読んだ。裁判になれば金になるし時間もかかるし、よくやる弁護士の手口だ。示談で解決できない間抜けで銭儲け女弁護士が郡部にいて男か女かわからぬ人間の解放運動に明け暮れていて依頼者の真剣な相談も程ほどにして職務怠慢・力量なしの糞女弁護士とは名ばかりだろうことは明白である。すると、

 「良く女弁護士とわかりましたね」と言われた。そこで、
 「これはさっさとこの女弁護士を解任して切れ者の男弁護士に依頼すれば7日もあれば有利に解決しますよ。」と返事をして紹介もした。それを聞いたその相談者は、
 「そうか、私も話をしたが考えがズレテ今イチ信頼できない弁護士と考えていたので、そんなに出ているなら明日動いて見ましょう」と言うと、見料を机に置き帰って行った・・・・・

 処分された弁護士数知れず頼むときには良く調べて頼まないと余分な苦労火種を抱えて逆に苦しむことになるのだ。なかには依頼人が高齢をいいことにその財産を騙し盗りなどひどいもんだ、熊本でも幾つも起きている見回せばすぐにわかると云うものだ。善良な弁護士も迷惑なことだ・・・・・・


 今日のここ銀座通りは普段より人手が多いようだ、時刻は夜の9時になる。ジーンズショップの店舗が閉店したのでそこに出店した。暫く通行人を眺めていると早速の依頼人、中年女性である。今夜はどんな相談なのか顔には争いの相が見えるのである、従って人との争いの相談となる。
 それによればこの女性は街中で商売をしているがやはり金銭トラブルを抱えていた。そこで占断してみれば大過を表出、そこで、
 「これは争いのかたちが出ていますがなかなかに難しいですね、しかし大元は繋がっていますので相手の機嫌が良い時にゆっくり話し合うことが大事です」と答えた。なぜなら二人して情交ありて水に溺れる象ありが出現しているからである。
 それを聞いたこの中年女性は「わかるの?」と聞いた後、「確かにつき合ってはいましたがそれは昨年のことです」
と言い
今度は、「返るの?」と聞くので、
 「2割くらいでしょうか」と答えるしかなかったここ銀座通りの今日の街占・・・・


 続いてきたのは若い男性・・・・見てすぐにモテ男と見て女性との相談と云うことがわかる。そこでこちらから、
 「女性とのことを見ればいいのでしょう?」と言えば、
 「えっ、見る前にわかります?」かと言う。もうここに出して3年過ぎたが手相だけでみているのではない、そして詳しく話すその男性は今女性と同棲しているが相手は二人いて都合3人で暮らしているのだと言う。それを聞いて驚いたが昔そういう男性がいたことを旅占で聞いた。そこで今その相手が同時に妊娠して困っているのだと言う・・・・・
 ここで「あんた自分の身から出た錆びだろ」と言うのは容易い・・・・・この糞男さてどうしたものか、調べて見ればやはり反省させねばなるまい。そこで都合の良いことばかりしていると寿命が縮まることを伝えてこのアホ男の占断が終わった。


 続いて来たお客は出勤前の色香漂う美人、これからクラブに出勤だと言う。そこで何にも聞かずに占断する。どうやら職場でうまく働けて良いお客が付くかを見て欲しいことがわかる。顔を詳しく見れば一人の男性が見えるがこの男性は以前からのお客であり今後新たな良いお客は1から2箇月先と見た。そして、自信をもって一気に伝えた、
 「貴女は今までの男性が嫌になっていて今後はまた次の良いパトロンに乗り換えます、職場ではホステス同士の競争はありますが大体うまくやっていけますよ」と答えたものだから、
 「えっ、どうしてわかるの?」と言い、やはりビックリした顔をして、「うーん、そうなんだね」と言うと、見料を置いて、
 「また来るね〜っ」と言い歓楽街に消えて行った・・・・・



 続いてのお客も女性、顔を拝見すれば男の問題と云うことがアリアリと出ている。占い師がそんな女の性を見逃すことはないのだ。
 「何を見ましょうか?」とわざとらしく聞いてみれば、なんと!
 「聞かなくても当ててくださるのじゃないの?」と来た。成程こちらが若造と思い試すのかと思ったが、
 「当てましょうか、厳しいことで私は有名ですよ」と言い、
 「貴女は今何人もの男と男女のトラブルを起こしていてこの侭では命が危ないです」と伝えた。
 とんでもない女がきたのである。すると睨んだ顔になり、的中させたのにくそ女、感謝もない。ここで中止にしても良かったのだがこの女が死相をかんでいるのでまたお人好しの占い師のお節介があたまを擡げて、
 「あそらくここ1週間のうちには注意がいるよ」と言えば、どこ吹く風、ならばなんで相談に来たのかと思うが変人と思えば納得する今夜の街占であった・・・・・・・


ここ下通りでは一番若い占い師は私になる、だからこそショ波や嫉みが横行するのだ。17歳から出したものだから他の手相見などは初めは無視していたのだが段々とお客がこちらに流れて行く現象が現実のものになったことであんな若造にお客を取られて実入りが減少するようになり始めて干渉と云うことも起きた。それがくだらぬストーカー男であった。しかしこちらに対しては簡単に手出しは出来ないし自分らの身を守ることの方が先決であった・・・・・・・

 さて今夜のお客は女性。女の相談は長々と続き易い。
 「見て貰える、あらっお若い人ね」との言葉で、
 「はい、まだ20歳ですよ」と言えば、
 「えっ、そうなの?」と言い、ビックリした顔が表れて面白い・・・・・・そして何も聞かずに、
 「貴女は父親と意見が合わず苦労していますね、しかし来年その父親が病気に罹り苦しみますのでそれからは親子の仲も元のように良くなりますよ」と言えば、
 「えっ」と驚嘆したので、
 「間違いありませんよ」と伝えて、この相談者の問題も一気に解決へと動くことになった。

 人の相談に乗ると云うことは生易しいものではない。何でもかんでもわかりもしないくせに霊のせいにして金を巻き上げるペテン死野郎の餌食にならぬよう現在のその人の状態を確認してそこに出現している因縁を突き止めることで日々感謝され現在まで生きている・・・・・・・・・・
 そしてそれが、今夜のここ下通りの深夜の街占であった・・・・・・・・


 帰りに食事をしようと下通りを開いている店舗に向かっていると前方から一人の中年オヤジが来る、そしてこちらの顔を珍しいもののように見ている。その時すぐにわかった、全然知らない人であったが顔には僧侶の相、そしてそれも日蓮宗と云う事がわかる。向こうもこちらのことを見抜いたと思う。過去にも何回も「神さんが来た、神さんが通りよる・・・・」等と言われて相手が大騒ぎしていたが今度は流石に違う。きちんと修行した僧侶であるのだ。すれ違いざまに軽くどちらともなく会釈したことでもわかると云うものだ・・・




 次の週もここ銀座通りのジーンズショップの横に占いの店を出した昭和48年の冬。
 熊本にもシベリア半島から襲来する寒気団の影響で寒さが厳しく懐にはカイロを張り、悩めるお客を待つ。時刻は夜の9時になろうとしていた。そこに一人の女性が立ち止まりこちらに視線を向ける。いつもこう云うときには見ないように、視線を合わさないようにしている、それが、どんなに美人のお客であろうと・・・
 すると「見て下さい」と言う。そしてもうすでに交際中の男性との事での相談と視て、
 「はい、今お付き合いしてる男性とのことで良いですか、」と言えば、
 「へえっ、見る前にわかりますか?」と言うので、いつもの如く、「はい、何でもわかりますよ」と言えば、
 「これから先どうなりますか?」と聞かれるので、
 「はい、この人との相性は良いのですがこの男性が気が多い人なので貴女が心配ばかりさせられて長くは続かないことになりますよ」と言えば、
 「えっ、そうなんですか?、それは浮気して他に彼女ができるのですか?」と聞くので、
 「そうですよ」と答えるしかなかった。どんなに方法を教えても気の多い浮気者の男は常に浮気を繰り返すしどうしようもない因縁を持っているのである。それを伝えるとこの女性黙してしまい、見料を机に置くとサーッと帰って行った・・・
 その時、「この仕事はサービス業ではないですよ」と、心の中で叫んでいた・・・


 次のお客は会社の重役か?
 「どんなことでもわかるか?」と聞いてきた。わからんと思うならさっさと他に行けばいいものを、と思うが・・・・・
 「今考えていることを当てればいいのでしょう」と言えば、頷くので、一気に、
 「会社の女の子に手を出して困る顔が出ていますよ」と言えば、絶句した、そのあと、
 「今後どうなるかわかりますか?」と敬語になる。今までのデカイ態度が一変、そこで、
 「これはとことん追求されますよと占断すると流石に驚き今後は女性だからと甘く見ては凶であることをこの40歳も歳が離れた重役に説教してやった後味の悪い街占であった・・・


続きを読む

BACK