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 今夜の熊本は夏の祭りがあっているせいかかなりの人通りである。人通りが多いからと云ってお客が多く
来るかどうかはまた別であるが、少しは期待してしまう自分がいる。
 
 街に着くとすぐに見台を組み立て占い相談の準備が整う。そして行灯にローソクを点し何時来るともわから
ない相談者を待つ。すると目の前にひとりの相談者(お客)が立った。

 「どんなことでもいいのか?」と質ねるので、
 「はい、だいじょうぶですよ、どんなことでもなんでも構いません」と返事すると、
  
 「商売をしているがこの先どうだろうか?、大丈夫かみてくれ」との事。そこで、
 「はい、わかりました」と言い、その差し出した手を見れば、運命線上に障害が出ている。これは厳しいが
打開する為に、断易で見てみれば、才財は休囚して勢いが無く兄弟も勢い強力であり借金も益々増えて
行くと見て、
 「なかなか大変ですね、この先もまだまだ苦心が続きます。もし良ければ年内に、12月までに手を引かれた
方がいいようです」と答えると、
 「やはりそうか、資金もかけてるがなかなか思うようにはいかないので・・・・・」と言う。

 決断するかどうかはお客が決めるのであるがやはり商売は難しい、こちらの答えを聞いて後見料を差し出す
と、新市街の方向へと歩いて行った・・・・

 それからまたひとりのお客、黙って手を差し出す。その手をとり拝見すると、深い運命線が見える、そして
感情線は真すぐに走るが上には幾つもの枝分かれもある。これはなかなか気難しい面を持つ人である事を示
している。
 「幾つか神経を使うこともあり問題がありますね」と言うと、
 「そうなんだ、どうすれば良いかわかるか?」と聞くので、
 「自分の意見を言うのは大事ですが、身内の意見も聞かないようでは争いが起きますね」と言えば、意外にも

 「それはわかっているが」と言うので顔に出ている目上・年上宮からの助けの気色線が引いておりこれが助
けになるとみて、またお客は言わないが財産相続の件と見て、
「財産のことでしょうけど、それぞれの意見はありますが長老の意見も採り入れて解決へと向かいますよ」と答え
ると、

 「おお、わかるか」と言い、来た時の暗い顔が明るく変わり、
 「また考えてみる」と言うと、見料を置き足早に帰って行ったここ下通りの商店街であった・・・・


 次の日は少し早めに行くことにした、まだ祭りの最終日でもあり相変わらず人手は多い。いつもの場所に出すと
すぐに男の二人連れ。見たところ遊び人のようである。すぐに、
 「この台はどうか見てくれ」と言う。出る台かどうか見てくれとのことで、
 「わかりました」と言い占うことにした。
博打ではあっても当たり外れは大きな違い、しかも今目の前には大きなパチンコ店もあり結果もすぐにわかる。
 出たのは山雷頤の益である。また顔の財宮にはピンクの気色を引く。そこで、
 「この台は意外にも相性が良く大当たりが何回も期待できて欲をかき過ぎないで行けばかなりの収穫が期待出
来ますよ、大丈夫です」と答えたものだから、

 「おお、そうか」と言いその二人連れは料金を払うと近くのパチンコ店に入って行った。

 そしてまた次の客が来る。今度は女性である。しかも和風美人と云うところか。

 「近所でお店をしていますがこの先商売はどうでしょうか、みて下さい」と言う。聞けば小料理の店を始めて8年
との事、それなりにお客さんはいるが最近は若い子のいる店に流れて行ってるようだとのことで、すぐに断易でも
拝見してみた。

 才財は日・月より勢いをうけ安泰ではあるが破る星の兄弟が姿を現してくる象で危険。そこでこれは固定客も
たまには気分転換にて違う店や新しい若い子のいる店などに流れるのは見えるところ。またこのママさんも努力
はしているがやはり値段には少し配慮がいると見て、それらの件も話すと、

 「そうなんだね、それじゃまた検討してみるわ」と言い、見料を置くと人混みのなかに消えて行った。

 夜の11時を過ぎたが人通りは相変わらず多い、また酒が入り気が大きくなり喧嘩も時折起きるこの歓楽街・・・
そしてまた次のお客の御到来となった。


 夏祭りの最終日でもあり通行人も酒が入っている人も多く、やはり熊本人は言葉は荒いがしかし情の深さが見
てとれる。だけどそんな事はどうでも良くこちらは少しでも稼がなくてはならぬ身、そこへお客の御到来。

 「見て下さい、何でも構わないですか?」と言う年の頃30代と思しき女性。
 「はい、大丈夫ですよ」と答えてサイを一転、出たのは坎為水、これは情交あり抜き差しならぬ関係と見て、
 「今交際中の人がいてその仲も二年以上になり今後はどこか別の土地で暮らそうかと考えていますね、しかも
その男性は妻子持ちと出ていますが」と強力に占断した。するとこの相談者の女性は小さな声で、
 「はい、そうです」と言う。当たり前ではあるが的中。そこで、
 「今後はどうしたら良いでしょうか?」と聞くので、こちらも返答をしないといけないが出た侭に、
 「この関係はかなり厳しく貴女も覚悟が要ります。別なところで暮らすと言うがそれは末を遂げず最終的には
決断して手を切るべきと思われます」と伝えると、
 「それは考えたこともありますが・・・・」と言う。 そしてこのときにこの女性の顔に自○の相を読んだのだが命
までには届かずとも視たので、この交際の否であることを再び告げると、
 「・・・・・・」黙した侭一礼すると通行量溢れる下通りを帰って行った。何とも暗い印象に残る占断になった。

 それから来るお客は酒の入った人ばかりになり、店終いしたのは深夜の2時を過ぎていた下通りの歓楽街・・・




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