龍神堂本部

 ここに出していると色んな人が来るし色んな事がある。一般の者など外野席から見
るだけで何にも知ることはない。東南アジア系やイスタンブールなどに行くと占い師の
地位の高さがわかると云うものだ。日本ではその地位はまだ低い。
 戦後一時期占い業を行う者には審査と許可制が敷かれ悪徳業者の締め出しが行
われたが今ではそれもなくなってしまった。この事がこの業界にカビとなって蔓延る
事になっているのだ。

 さて今夜の相談者は男か女かそれとも等と考えているとひとりの男が見台の前に
立つ。そして言うには
 「何でもわかりますか?」とのことである。こういう時にはいつも
 「はい、わかりますよ」と答えることにしている。すると、
 「俺には死の相が出ていますか?」と言うので、
 「それは見てみないとわかりませんね、500円かかります」と言えば、
 「・・・・」と黙したまま帰って行った。

 金がかかるのは当たり前ではないか、生死にかかわるような重大なことを聞くのに
無料とでも思っているのか。このような男に限らず世間知らずの人間は、かなり多い。
 何でも無料で聞けると思ったり相手への思いやりの無い者やこちらが親切にした事
でもその気持ちが伝わらない者や、ものの言い方もわからない者など限がない。
これもこの街占の宿命か。

 この不幸男が帰ると次にきたのは町の商工会の男だと言う。そして言うには
 「なかなか会員の考えがいつも食い違いますが、これは何かサワリでもありますで
しょうか?」と言う。
そこで霊視してみると、中央に大きな神が鎮座しているのが見えるが、この神には
片方の足が見えないのだ。そこで、
 「お祭りしてある神さんが足を修理してくれと言っていますが」と言うと、
 「えっ、」とビックリした声を出し、
 [実は我が家にあるお大師様の片方の足が割れていて修理するかどうか決めかね
たままもう5年になりました」と言う。

 弘法大師の像が祭ってあるがその片方の足がとれてなかったのだ。それを言い当
てたのでビックリしたようだ。そこで修理をしてくれる処を紹介してあげると、
 「助かりました、ありがとうございました」と言って見料を置くとその足取りも軽くなっ
たように見えた。

 続いて来たのは占いの勉強をしていると云う男性、聞いてみると姓名判断の勉強を
しながらスーパーで印鑑の販売を仕事にしているとの事。そんな男が何を聞きに来たの
かと思う。名前が悪いから印鑑を作って運を良くするなどととんでもない詐欺商法であ
る。
 会社でのマニュアルに沿い覚えていき最後には高額の印鑑を売りつける悪徳商法。
突っ込んでこちらが質問してみると流石に答えることが出来ず占いを勉強したいなら
年月はかかるが先ず易の勉強からしてみることだと教えて帰ってもらった。

 原価が3000円もしない印鑑を20倍30倍の法外な値段で売りつける悪徳詐欺商法
であり、姓名学の創始者熊崎氏も嘆かずにはいられないであろう。



 そして深夜の午前1時半になると水商売の人達が訪れて来る。
 「見てもらえる?」とのことで、聞いてみると、
 「お店をしているけど最近あまり良い事がないのよ、その原因が何かどこにあるか
わかりますか?」とのことである。以前観た人のようにも思えるが思い出せず「わか
りました」と言い拝見する。仕事帰りであるし時間もないであろうから急いで観てみ
ると、

 長く祭らぬ神が出たがる姿が見えたので聞いてみると
 「以前母がお参りに行っていたところがありアタシもついて行っていたけど、今は
母も亡くなり行かなくなって・・・・」との事。そこで、
 「そこから御守護をいただいていたようですが、人間は勝手なもので願いが叶うと
その
時だけで後は忘れる事が多いですが、一度お礼のお参りをして下さい、そうすれば
今の災難も起きなくなるようですよ」と答えた。するとわかったのか、
 「そうね、今週でもお礼に行ってみるわ」との返事が返ってきた。これで亡くなった
お母様も心の荷が軽くなると思う・・・・・



 そしてまた次の相談者が来たのは午前2時を過ぎていた・・・・・・
 「見てくれるか?」一見堅気ではなさそうだが、黙して手を出す。男性にしては硬い
手をしている。これは労働者の手である故に何か事情があって横道にそれたことが
わかる。そして性格も思い込みがきつい面が感情線にも頭脳線にも表れていてこの
人がこだわりの面を持つ激しさも秘めていることがわかる。そこで、
 「言いにくいですがトラブルがあり、どうかしようと考えているのではないですか?」と
言うと、
 「そうだわかるんだな」と返事をした。そこで、
 「今月の運勢は波乱と出ていますので人と相談されて対処された方が良いと出て
いますので・・・・」と言えば、沈黙したまま見料を置くと足早に下通りの歓楽街の中
に消えて行った。その時指した時計はもう午前3時を過ぎていた・・・・・



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