ここ熊本下通りは何時出店しても特別に変わることもない。しかしいつものようにその街に足を運び店
を出す自分がいるのも事実なのだ。変わり映えしないと言っても、しかし、そんな中で変わったと思える
ものを挙げるとするならば、若い人のファッション位か。街を歩く女性のカラフルなファッションがそれを
物語る。

 その後相談者を待つこと50分やっとひとりの男性が見台の前に立つ。
 「何をみてもらえますか?」と言うので、
 「何でも見ますよ、どんなことでも構いませんよ」と言うと、
 「実は今母親が病気をしていましてこのままでは入院になるかも知れませんので、病気が治るか、また
何が、原因なのかを知りたくて伺いました」と話される。

 「わかりましたお調べしてみます」と応えてお名前生年月日住所を伺ってみた。そしてこの相談者の顔を
観てみると、母親の塞ぎがちな姿とともに大きな家の縁側とそこにある石が観える。これはおかしい、
何か因縁が蠢くことを読み思い切って

 「あなたの家は大きな家で縁側にも庭がありそこに以前持ち込んだ石があると思いますが」と伝えると
 「はい、石なら築山をしていますのでそのとき業者に頼んでしてもらいました」と言う、そこで
 「その石の中に妨害をする悪因縁の石があります」と言うと、
 「今思えば築山ができた頃から怪我や病気や人とのトラブルが多くなったと思います」と言うので、こち
らも
 「その中のひとつの石が持ち込んではいけないものです、災いの石です」と答えた。そしてその築山を
見にいくことになり翌日の約束をして帰ってもらった。築山をしたことでの因縁災難数知れず注意して行う
ことである。


 次にきた相談者は老婆。見た途端うけたくないものを感じたので断わろうとしたが先に料金を置いてし
まったので風に飛ばされないよう掴んでしまったために仕方なく応じた。開口一番

 「お金を貸しているが返るか」とのこと、そこで借用書はあるかと聞くとそれはないと言う。
 「それでは証明のしようがないので無理ですね」と言うと即座に占断、でたのはヒ、これは嘘と見て
 「証明のしようもないし思い違いもあるので当時のことをよく思い出してみることですね」と言うと、間違
いないと食い下がる強欲婆、こちらもムカッとして

 「嘘つくな!」と一渇してやったら何やらビックリした顔になり慌てて帰って行った。
 こちらが貸したと言えば金でも脅し取ろうと思ったのか悪徳婆、いろんな者がいる街占。やはりうけな
ければ良かったがしかたない。その後はパラパラと来る相談者・・・・・・ 

  


そこに男の二人連れが来る。見ればカタギではないこと位すぐわかる。
 「見てくれ」と言って手を出すのでその手を取り手相鑑定。
 運命線はあるが途中で止まり低迷の相、健康線もあるが乱れの相で不安定な環境にいる。そこで、
 「今不安定な環境の中ですが健康にも気を配り内部の人間関係にも気配りして行けばそれなりに
上昇運が来ると思います。
 
但し今後は、健康面に乏しさが出そうな感じですのでその点配慮が必要ですね」と言うと、何か思い
当たるのであろう、頷いていたが料金を払うと下通りに見えなくなって行った。

 その出した手は両方とも小刻みに震えていて薬物中○の症状であることがわかった。


続いて来たのはまたしても男性。
 「商売をしているがどうだろうか?」との相談。この時また次のお客が並んだので即、易占にて答えを
出した。出たのは水山蹇ノ水地比。暫くは厳しい状況であろう。隅々に心を配り開拓も行うことは必要で
あるが動かぬ男の形。そこで、
 「初心に帰り顧客の心を捉えて進んで行くことが重要と思われますが。そうすれば1年くらいすれば
また盛り返して行くと出ています」と答えると、考えていたが、
 「そうか、ならあと1年頑張ってみよう」と言い、料金を置くと帰って行った。

 商売ほど難しいものはないがひとつ当たれば盛り返しは充分可能であるのも、また商売である。


続いての相談者は和服姿の美人女性。
 「こんばんは見てもらえるかしら・・・・」と言い見台の前に立つ。歳の頃38歳というところか。
 「何を見ましょうかお店のことでいいですか?」と言えば、
 「はいわかるんですね、見て下さい」とのこと。話を聞いてみると、この人の店が街にあり繁盛はして
いるが近い内に結婚しようかと言われた人がいてその為にお店を譲ろうかと考えているらしい、結婚
すれば商売はもうしないことにしているらしく夫となる人も水商売は駄目らしく幸い受け継いでくれる人
もいるらしい・・・そこで占断、
 出たのは山雷頤の益、これは養いの卦でもあり今それが現状を見事に現しており之卦の益にて栄え
て大利と繋がり之く象で大吉。そこで、
 「これはそうされた方が良いですよ、お店も譲るでしょうし貴女も安心されるでしょう」と答えると、
 「そうですか、やはり相談して良かったぁ」と言われ、見料を机に置き帰って行った・・・・・


  5人の客が帰り続いてきたのは知り合いである、何かと思えば、
 「今彼女が店を辞めるようで止めても聞いてくれない、どうしたら良いか?」と言う。生まれ星を見てみ
ればどうやら水商売には向かない星を持ち嫌気が差したのだろうことはわかるので、
 「これは水商売には向かないよ、昼の仕事で頑張りあんたが応援してそして二人で協力していくこと
だね」と答えると、
 「俺も給料が安いから・・・・」と言うので、
 「他にも仕事をすることだよ、昼は暇だろう」と言うと、どうやら寝ているらしいので更に、
 「少し早く起きて頑張ることだよ」と言えば、
 「それはわかるけど・・・」とまた言い訳をするので納得させてやろうと決断させるために決め言葉の
登場で、
 「彼女がとられてもいいのか?」と言えば、
 「そんなのが見えるの?」と言うので、
 「彼女の苦労がわからない者には・・・・・・」と言ったものだから、
 「そんなのが起きるなら嫌だし・・・・わかった頑張ってやってみるよ」と言い帰って行った。
 金は稼げるのも水商売かもしれないが向かない女性には心の疲労が蓄積されて最後は彼氏に
爆発した今夜の街占であった。

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 旅占