xxxxxxxxxxxxxxxxxx 次の客も女性。 「今後を見て下さい」と言い黙す。余程の深刻な悩みであることがわかるが、内容は話さない。 ならば当てないと進まない、ここからはプロの世界・・・・・ 顔には曇りとともに金銭の困窮、そして手を見れば病気に罹っている相があり、一筋縄では いかないと見た。これは他人からいいようにされこき使われている、そして働き過ぎて病気に なり窶れ果てているのだ。 そこで「貴女は人とのトラブルが起きこき使われてきましたね?」と言えば、 「えっ・・・・・・はい、そうです」と、見事に的中した!それからポツリポツリ話しをしてその 全容が明らかになったのである・・・・・・ この人は或る店で働いていたのだが、或る日お釣り銭を間違い多く渡した為に その日から経営者よりやかましく言われた上にパワハラを受けるようになった。 お金は翌日店に返し弁償したのにである。 もともとお金にも困っていたのでこのミスも本人が誤魔化したと経営者は思い このような仕打ちとなったのだと思える。そしてこのお金のこともあり、嫌がる 彼女を或る女に引き合わせた。それは風○経営者の女であった。そしてそこで 働かされること2年・・・・・非常に辛い日々であったと思われる。 色んな人が来るここ歓楽街・・・・・・ 今後は占、「漸・・・・」 「少しずつ良くなり回復はして行くがお金には油断しないようにと、伝えた」 今夜の街占であった・・・・・・ 今夜は少し遅れて出店した、しかし出店しようとした商店の閉じたシャッターに 「出店お断わり」の張り紙がしてある。迷惑なのだ!! 商店にとっては店前に出店することで迷惑になるようだ。アーケードの負担金に始 まり商店会の年会費等と出費があるのはわかる。滅多にないのだがこちらも買い物を する客と云うのをこの店主は忘れている。いつも店前はゴミが落ちればすぐに掃除も するし、防犯にも役立っていると思うのだが違うらしい。 一人が千円買わなけりゃ一ヶ月3万円の売り上げ減、年間36万円の売り上げ減、 これに兄弟身内も加わると年間数百万円の売り上げ減少となる計算もできないようだ。 しかし中には或る商店主のように帰りには「お疲れ様」と言って店の商品を戴く事も あった街占。 そんなこんなで今夜は場所を銀座通りの玩具屋の横に出してお客を待つことに した。時間はもう夜の11時過ぎになった。未だ誰も来ず慌てても仕方ない。しかし そう思うと突然お客は来る。 「見て下さい」と若い男性。 「はい、どうぞ何を占いましょうか?」と言えば、 「仕事が成功するか見て下さい」とのことですぐに占えば、 履の訟を得る、これは元々大きすぎて手に余る仕事である。恐らく飲み屋を しようとしているのであろう、聞いてみるとまさしくそうであった。 「資金も少なく3ヶ月もすればいい方ですぐに閉めることになりますよ」と答 えれば、 「やってみたくて今日まで金も辛抱して貯めてきたので」と言い見料を置くと 帰って行った。 まぁ仕方ない、見ても通じぬ者には大切なお金と大切な時間まで失うのだ・・ 今夜は夜の九時過ぎに出店したここたそがれ酒場通りの片隅、下通り一番の歓楽街。 周囲は飲み屋だけでなくストリップ劇場、ソープランド、おさわりバーに本○バー と色んな店も多い。 そして10分もすると今夜の最初のお客、男性であるがもう飲んでいるのか足元が少 しふら付き見台の前に立つ。直ぐにその手をとると、 「何でもわかるか?」と聞いてくる。すぐに、 「わかりますよ、いま女性のことで悩んでいるようですが」と脅かしてやると、 「おお、わかるのかぁ、それじゃこれからどうなるかわかるか」と聞いてきた。 「これからは残念ですがお金ばかりかかり最後は逃げられますが」と答えたもの だから、少しはショックだったか沈黙が続くと見料を払いビルの3階へとおぼつか ぬ足どりで登って行った。 その後来たのは男女のカップル、やはり歓楽街だけあってふたり共酔っている。 そして「俺達結婚できるかわかりますか?」と聞いてくる。答えは出ているが すぐには答えず一応二人の手相を見て、 「これはまだ紆余曲折があるようです」と言うと、 「どうしてか?」と食い下がるので、 「貴方がもてすぎるからですよ、注意すれば避けられますので」と答えると 女性の方が、「そんなとこが確かにあるかもね・・・」と言う。すると男は、 「そんなことはないよ、ハズレルよ」と言うと見料を机にポンと置くと、下通 り商店街に向かって肩を組んで帰って行った。そして、 「そう簡単にはハズレないよ!」と一人呟く自分がいた今夜の街占であった。 一人の男がこっちを見て歩いてくる。この通りは幅が狭く軽の離合も大変であ る、そのため一方通行になっている。その通りを車にぶつかりそうになりながら こちらに向かい歩いてくる。そして前で立ち止まりこちらの顔を見ているのだ。 またかと思うが仕方ない、まだ19歳にも満たない自分を見てすぐに相談する人 ばかりではない。当たるか?値踏みしているのだ。若い自分が街占するのであ れば少し歳上に見られないと客はこないからと4・5歳上に見られるようにと 工夫するよう師匠からも言われていたが、そんなことは関係ないです、実力で いきますからと反発したことを思い出した・・・・ するとその男は先の薬屋のところに出している占い師の元へ行った。どうせ 見ることもできないからまたここに引き返して来ると踏んでいた。少し話して いたがやはりこちらが気になるのか引き返してきたことでまた予想が的中した のであった。この老占い師がこちらに見て貰えと言ったのではと思うが? それから開口一番「息子がいなくなったのでもしわかるなら見てくれとの事」 「はい。大丈夫ですよ見てみます」と言い、他にはいない易占の断易で見る ことにした。 出た卦は大有の○に之くでありこれは元気にしているが福岡にいて女性と 会っているかたち。従って、 「息子さんは元気ですが今は福岡にいて女性のところのようです」と答えた ために、 「えっ、そうなのか?」 「はい間違いありません、こころあたりはありませんか?」と言えば 「福岡には住んでいたことがある、学校も福岡に行ったから・・・・」との 話になり 「また帰ってから調べてみる」と言われ、恐らく近日中に判明するであろう と考えた今夜の街占であった 今夜は銀座通りに出した、酔客の多いたそがれ通りばかりでは、酒臭い客ばかりで こちらの気持ちも適当になるのを恐れて場所を銀座通りにしたのである。 ここも繁華街に変わりはないが少しは違うかと考えたのであるが果たしてどうか? そこに一人のお客、「わかるか?」と、口の利き方もわからぬ男である。知らぬふり をしているとこちらの顔を見ていたが、こちらが若造と思ったのか帰って行った。若い 相手であろうと、いきなり「わかるか」はないだろう。 熊本は昔から田舎言葉・田舎商売と言いどちらがお客かわからぬ言葉遣いをする店や 人が多い。そんな口の利き方もわからぬ、知らぬ人物は見ないことにしているのだ。 師匠からは怒られるかも知れぬが仕方ない・・・・その時、 「こんばんは、みてもらえますか?」と明るい声の方を向くと若い女性客、暗いここ 銀座通りがその明るい声でパッと花が咲く・・・・ 「はい、なにをみましょうか?」と問えば、 「今演劇の練習をしていますが今度の公演でうまくいきますでしょうか?成功しま すかみて下さい」とのこと。 「わかりました」と言いみてみた。月の半分は県外に行き猛練習とのことである。 出たのは漸、これは段々と体も心も天空へと舞い上がることを指していてピッタリ ではないか、そこで、 「心配いりませんよこれから猛練習が報われて大きな成功を収めます、観客もかなり 期待出来、嬉しい結果が待っていますよ」と答えると、 「ほんとうですか!良かったぁ、ありがとうございました、公演が終わりましたら またお伺いしますね」と言い、見料を置くと急ぎ足で帰って行った・・・・・ 今夜の下通りはいつもより人手が多いように感じる、やはり土曜日の夜ともなると 明日は日曜で会社も役所も休みのところが殆どであるから。 そんな下通りの歓楽街の片隅に今夜も占いの店を出す。今夜はどんな相談者が来る のか、どこ迄自分の占断が届くのか等と考え見台のローソクに火を灯し営業となる。 人は多いのにまだ誰も来ない。こんなときには持参した本をいつも読む。そして その本を読んでいると見台の前に一人の男が立つ。見ればヤ○○風であるが、 「今或ることで熊本に来たが今後はどうだろうか?」との質問。掴み難い質問であ るがなんでもござれと、出しているその手をとると、生命線の勢いに陰りあり、 顔を見れば血気盛んの相、後ろには3人の男が見えるので、 「今何か大変なことが起きておりその○○をしに来られたのだと思いますが」と言 うと、 「そうだ、どうなる」と聞くので 「ここは間に人を介して動いて行くことになりますが時間がかかります」と答える。 すると、 「そうか時間がかかるのか」と言い、その後、 この人物はどうだろうか?」と問われる。名前を聞いてサイを振ると出たのはゴン 「この人でしょうか対立は?」と答えるが無言なので的中とみた。すると見料を置 くと急ぎ足で帰って行った。人が生きて行く以上いろんな出来事が人の数だけある、 それが人間世界、環境が違っても悩みは人それぞれであるのを実感した・・・・ 続いて来たのは女性、どうやら水商売の女性のようだ。 「ここを通るときにいつも出しているのを見ていたので来たけど若いのね」と言わ れる。やはり水商売の女性は人を見る眼が備わっている。つい、 「まだ19なんですよ」と答えると、「へェ!」とビックりの様子。しかし、 「最近店のお客さんが来なくなったのよ、どうして来なくなったのかわかる?」と 聞いてくる。そこでサイを振れば蠢を表出。これはしばらくは来ない、他にいい店が できてそこにお気に入りの女性の出現である。 「これは他の店にも行かれていますので暫くは来ないでしょう、また手土産でも持 って会社訪問をしてみることですよ」と答えると、 「やはりね・・・・」と言い、思いあたるようだ。すると、 「またお願いするわ・・・」と言い帰って行ったここ下通りの歓楽街の片隅・・・・ それから3人のお客をみて次のお客を待っていると来たのは仕事帰りのホステスであ る。時計を見ればもう深夜の1時半・・・・ 「お願いできるかしら?」と言うので、 「はい、大丈夫ですよ、男性のことですよね、それも彼氏ですよね?」と言ったもの だから、「見る前にわかるの?」と言われ、「はい」と応えると、 「若くてもわかるのね」と褒められたのであった。これに気を良くしたので、 「その男性がよく遊んでいるのでしょう」と言うと、 「えっ、わかるの?、そうなのよ」と応えた。 詳しく聞けば、この男性がアパートに帰るといつもと云うか時々いない事が多くあり 一体どこに行っているのかを知りたいのだと言う。 一緒に暮らしていてこのお客が帰ったらいないと云うのは遊びに行くか他に女がいる のではと思うが占断してみることにした。 出たのは履、これは昔から女子裸身の象とも云われ女性の色香・誘惑をも現す。 そこで、 これは外に出て遊ぶかたちですので「女性が関係していますよ」と答え、 その女性には二人の知り会いと云うことは隠しておいた。つまりこの彼氏は、 このお客が一生懸命に仕事をしている間に二人が知っている女性と浮気の真っ最中なので ある・・・・・ そこでどう受け止めるかわからないが、 「他に女がいます、その人と会っていますが」と告げると、 「えっ、そうなの」と言い、「もしそうならとんでもなく悪男だね!」と言い、顔色も 変わり料金を机に置くと急いでタクシーを拾いすぐに乗り込んだ。 今夜は平穏で済めばと願う街占であった・・・・・ 次を読む 街占物語1に戻る BACK |