2日〜4日目

次の相談者は会社の経営者女社長である
座るなり、
 「こちらの折込を昨日見ましたので伺ってみました」と話される。

 そして言われるには、今会社もかなり忙しく大変賑わっていますが、何せ従業員というか人が集まらないのでそれがなぜか観てほしい、とのことである。

 そこで「わかりました、拝見して見ます」と言い今回も先ず断易でみることにした。ただそれと今、この社長の顔に出ている因縁相を捉えている自分がいる・・・・それは人の因縁だ。しかし今はそれを置いといて調べて見ると、やはりこの会社の人事面の問題のみならず今で云うところのブラック企業であることがはっきりと出ている。そして人の口の怖さが出ている。そこで、

 「今見てみましたらどうも仕事が忙しいためなのか人が足りない為なのかオ−バ−ワークになる為社員も休日がとれず辞めていきそのことが噂で広まって行ってるようです」と、答えると、

 「忙しいときには社員も会社の為に頑張り働くことで豊かな生活が送れますでしょう」と、言われる。それはそうだがその為に社員は休むことも出来難く抱え込んで遂には辞めていく悪循環。そして、社長の顔に出ているのは会社を辞めてその後自○した若い男性なのである。

 この男性の件が大きな障害となりこの社長の考えが改まらない限り人は来ないと思う。

 こちらが少し言いにくいことを言ったためか、それとも占い師如きが経営などわかるものかと、思ったのか、相談料金を払うと帰って行った。



 そしてまた「お客さんですよ」と仲居のKさんが案内して来た。見ればまだ若い女性、夏らしい服が良く似合っている。これは夜の世界と見て、
 「何をみましょうか?お付き合いでしょうか?」と聞けば、
 「そうです、見て下さい」とのこと。そこで、
 「わかりました」と言い見てみることにした。しかしこの女性見かけに関わらず内面はかなりドライと観える。 しかし今は観ることに集中してみれば、金銭問題と男性の問題、親の問題をかかえていることがわかった。
 
そこで、
 「貴女はお金の件、つまり店の売掛金と観ましたがとれない、集金がうまく運ばないのでしょう?」と言うと
 「えっ、]と声をあげ、
 「そうです、どうしたらいいですか?」と聞いてきた。そこで、数人の相手を調べてみればそれぞれこの女性が若いこともあって遅れて
いるようだ。しかし、先では協力者が出てきて無事集金できる象が視えたため、
 「しばらくは頑張って集金訪問し続けていれば協力者が出てきて集金できます、それまで諦めずに努力して下さい」と言ったため、

 「そうなんですか?」と半信半疑な返事であったが相談料を払い階段を下りて行った。

 客が飲み屋にした掛けは従業員に払わせる店が多いのも当時の飲み屋の常識だった。

 それからもお客が何人も来て忙しい日々であった。
 そして、夕食後外に出て旅行雑誌を求めに本屋に行った。次の日切り地Y市への下調べをする為である。
 街ではイベントがあっていて人が多い、子供連れに若い女性や観光客、皆そのイベントを見ながら横に出ている屋台や出店の商品を買って楽しんでいる。

 そんな風景は今の自分には向かない、明日の日切りには何人のお客がくるか?、また、今度行くY市ではどうか、など考えることは尽きない。

 そして旅館に帰ると「お帰りなさい」との仲居さんの明るい声を聞いた後温泉に入り疲れをとる。そのあと部屋で本日の相談者の件を見てまた研究し、それからまた明日の仕事に備えることにして布団に入った。



 翌日は6時前に起き灯明をあげているとその炎の横で線香の先端がくるくると円くなりだした。普通は線香は火を点せばそのまま灰は下に落ちるものだが、それが円くなり何重にも重なっている。つまり蚊取り線香のように・・・・・・
 今までも数回過去に起きている。これは今日のことを現していると見ていつものように御神仏の御真言を唱えた。時々背後に出現する男性、この働きのようだ、いつものことか。

 それから朝食が終わると仲居さんが「お客さんですよ」と女性の相談者を連れて来た。座るように伝えて話を聞けば、
 「夫とも死別して10年になりますが、今ひとりの男性と知り合い交際していますが、相性を見てもらえますか?」とのこと。
 「相性ですね、拝見します」と言い、この女性とその男性との相性をみてみることにした。

 相性を占いで見るには九星・姓名判断・星占い・タロットなど簡単にみるものは幾つもあるが、自分としてはそれらの相性判断は不確実で実際あてにならないと幾度聞いたことか、日本人口1億数千万人、これをたったの九種の相性でみるとはおかしなことである。また名前で見ても同姓同名の者が同じ運命を辿らないのはなぜか、その名前で相性などみれる訳がない。タロットにしてもその人間の気分で出た絵で出した相性にどれほどの真実性があるのか?

 この人には命理学での相性を用いまたお顔に出ている男性を捉えた。
 命理学上で見ればそんなに悪い相性ではないがこの男性は年下であることが難点か。そのほか原因はこの女性の金銭財産にあると見た。お顔にはこの女性の金銭財産が食い尽くされて行く相性が見える。よって

 「この男性との相性は普通ですが貴女との考えが特に金銭で食い違うため早々に止めとくことです、ろくなことはありません」と伝えた。それを聞いたこの婦人は、

 「そうなんですか?そうは思えないのですが?」と言う。恋は盲目とは良く言ったものだ。

 今までも納得しない人は毎度いるものであるが、こちらを見て若い占い師に何がわかるかとでも思っているのだろう。であれば来なけりゃいいのだと思う。自分の考えが、自分の判断が正しいと思っているのだろう・・・・

 こちらも遊びで相性をみているわけではないのだ、口の軽いこの客が男に話せばこちらに聞きに・説明を聞きにくるだろうが関係ない、それ程やわでこの仕事ができる訳ではないのだ。

 話と判断を聞くとサッと席を立ち相談料金を払うと帰って行った。そしてまた次の客が来た。


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