4日目〜最終日


 次のお客は女性、夏とは云えあまりにも肌を露出させた服装で来る。目のやり場に困るがお客と割り切ればなんてことはない。その女性が言うには、
 「職場でしつこい男性の嫌がらせに遭っています、どうにかなりませんか?見て下さい」とのこと。そこで、もう原因はすぐわかったのであるが一応調べて答えることにして、
 「嫌がらせですね、わかりました見てみます」と言い一応断易で見てみると、天澤履の○○を表出した。元より女子裸身の象。
つまりこの女性は今日のように魅力的なのだ、それでおそらくこの職場の男がなんとかしたいのだがそれがうまく行かずにこの女性に嫌がらせをするようになったと観た。

 そして確認のためこのことを伝えると、
 「時々会社の帰りに飲みに行こうとか食事に行こうとか言って誘われたりしてましたが、私のタイプではないので行くことはありませんでした、だからでしょうか?」と言う。
 どこの職場にも鼻つまみ男の気の小さい一人ではなんにもできない輩はいるもので、その欲求不満の矛先は弱い女性に向かうことが多い。またこの女性は果たして自分が魅力的であることをしらないのか。俗に云う、男好きのする女性なのだ。

 そこで占断した内容を告げ、
 「貴女は好き嫌いがはっきりしていますから今回は断ったことが原因でこの男が嫌がらせをしているようです、一度上司に話して被害を報告しそれなりに対処して貰うことです、それでもやめないならば、○○○で対応できますのでその時はまた来て下さい」と話したら、
 
 「そうなんですね、近頃は会社にも行くのがおっくうになりかけていました、言われたとうりにしてみます、そしてだめなときはまた来ます」と言い料金を払うと階段を下りて行った。

 そしてまた仲居さんが「お客さんですよ」と言い男性のお客を連れて来た。見れば中年男性、しかも商売人と見た。夏用の座布団に座らせると、

 「何を見ましょうか?商売のこととお金ですか?」と聞くと、即座に、
 「そうです、わかりますか?」と言う。これで間違いがなかったことがわかったので相談も楽だ・・・・・

 「では商売の方はまあまあと思いますが金銭面が問題ですね」と切り出してみると、
 「今貸したお金が返らないので困っているので返るかどうか返してくれるか見て下さい」と言う。
 聞けば借用書もあり知り合いに貸した金額がなんと6千万円と言う。高額も高額である。余程信用して貸したかその相手を見込んで貸したか何か特別な事情がなければ金儲けとしか考えられないが。

 商売のことよりもこの大金が返ることの方が今は重要と見て占断してみると凶が出た。また顔には財の陥落相も表出している。そこで、

 「これは借用書に書いてあることを実行できれば幾らかは返りますがそれでも全額は無理と思います、またその件で話しに行くことになるでしょうが」と答えると、なんと自分は今一日2食でしかも200円のパンしか食べていないと、また米は月に3回くらいしか食べられないとも言われる。それを聞いてなんとも凄いことになっていると思った。

 金の貸し借りは時に人の命までも奪うことがある、故郷の阿蘇にも金を借りて(騙し盗り)返さぬNの相談をうけた。この相談者も最初はきちんと返済があっていたとのこと、油断があったかも知れないがなんとも心のすぐれぬ相談であった。

 それからまた次の相談者が来る。


 「見てもらっていいですか?」と、家族の五人連れ。座るように促すと緊張した面持ちで座布団に腰をおろした。開口一番、

 「実は孫の着物が見当たらないのです、どこにあるかわかりますでしょうか?」と言う。聞けば、

 去年孫の為に秋の十月に着せる着物を仕立てたのですが見つかりません、十月の誕生日に皆で神社に行き記念の写真を撮る予定で、もう早くに予約もしていてとても困っています」と話される。

 そこで拝見してみるとこのお宅は2軒の大きな家があると言う、それぞれ離れていて車で50分もかかると言うので、難解な占断であることがわかる。そしてそもそも、盗られた場合もあるのでそれをみればない、盗られてはいないので、探せば出てくると見た。

 それで今親が(孫の親)住んでいる家を見ればここにはないことがわかる。ではもう一軒の家か?
 真言を唱えて見てみれば、やはりここにあるようだそこで、

 「もう一軒の家にあります、今から行って探していただければ見つかりますよ」と答えた。と同時に外せば今来てる五人は当然その知り合い・兄弟姉妹・友人と何百人へ「ヘボ占い師・ヘボ易者」と罵られるであろう。そして料金を払うとその五人は急いで階段を下りて行った。

 答えはすぐ出る筈だから暫く待っていれば必ず連絡は来る筈、反対に外せば怒鳴り込まれるかも知れぬ、その上に精神的苦痛を訴えられるかも知れない・・・・・
 しかし、こちらも自信があるのでゆっくり待つことにして次のお客の相談を享ける。

 それから最後のお客が帰った夜の8時に仲居さんが「電話がかかっていますよ」と呼びに来たので急いで階下に下りて行くと、なんと先ほどの孫の着物の相談者であった。

 「ありました、先程はありがとうございました見つかりました」と嬉しそうな弾んだ電話の声である。どこにあったか、どこでみつかったか聞いてみると、やはり、
 「離れの家にありました、帰って家の中を再び探していると、おばあさんが「何を探しているの?」と聞くので、
 「○○の着物がないのよ」と言うと、
 「それはわたしが納戸にしまっているよ」と言われたそうです、なのですぐに探したらきちんと衣装ケースにいれてある着物を見つけたのでした。

 やはり発見するまでは気分的にも落ち着かない、それがどんなに自信のある占断であっても。
 外せばインチキ占い、へぼ易者と言われて偏見の目で見られる。

 とにかく良かった。そして今夜でこのS市を後にするのでお世話になった地元の有力者に挨拶に行きお礼を述べ旅館に帰ったのはもう夜の10時であった。

 明日は次の日切地Y市へ向かうため直ぐに布団に入った。すると「こんばんは、こんばんは」と声がする。部屋の電気を点け障子を開けると、なんとこの旅館の仲居さんである。どうしたのか聞けば、
 「わたしも見て下さい」と言う。
 「旅館の仕事は夜の9時過ぎしか終わらず今になりました。すみませんお休みされていたのに」と言われる。

 それを聞きこの5日間ほんとにお世話になり、お客の案内でさぞ大変だったろうと思い準備を直ぐにして話を聞くことにした。
 やはり旅館の仕事はどこでも大変である、この仲居さんは住み込みで働いていると言う。幾つかの
相談に乗って占断し終わったのはもう11時であった。そして心は次の日切地に傾いて行くのであった。

 続き

戻る