龍神堂本部祈祷院
B

 今日も売卜(生活)のためにここ熊本下通に店を出した、他に取り柄も無い自分にとってはこの仕事・人の心の中を覗く仕事
が性に合っているのだろう?

 随分前になるが、街占を始めた頃半分冷やかしで自分の適職を占ってもらったが、占い師と答えた占い師はたったの一人、ほかの9人の占い師は見事に,ハズレている、それ程偽者の占い師が横行しているのだ。その的中させた占い師と云うのが今の自分の師匠のなかの一人である。なかの一人と云うのはつまり自分には人生の教師たる5人の師匠がいるからに他ならない。



 さて今夜も見台にロ−ソクを灯し終えると悩みを抱えたお客を待つべくクッションの悪い粗末な椅子に腰かていると目の前を口汚い女連れがこちらの悪口を言いながら通りすぎて行く。

 男には力で負けるが口汚いのは天下一品、これも女の性と云うものである。特に熊本は人の悪口や噂話には加担するが責任など取ることもなく、裁判や人前に晒されて初めて自分の愚かさに気がつくようだ。
 この二人連れの運勢を易占してみると出たのは既済の四爻・離婚で夫に捨てられ悲劇の道をこれより歩く女と出た、やはりと思う間もなく相談者の御到来である。

 「こんばんは、観て下さい」と歳のころ33歳くらいの熊本にはいないような美人である。果たしてこんな美人がどんな相談をすると云うのだ?こちらも
 「はい、何を占いましょうか?」と聞くと、
 「今結婚しようかと考えている人がいますがほんとにこの人でいいか、と思い観てもらいにきました」とのことである。

 そうだろう、こんなに美人であれば自分の妻にしたいと思う男は何万人もいるだろう、等と余計なことをつい考えてしまう。そこで、その男性の生年月日と名前を聞いてみる。

 男性の名前を書いた瞬間に顔が出てきたので風貌を聞くと全くその通りである。そして更にもう一緒に暮らしている姿が出るので、
 「もう同居していますね、この人と」と言うと、びっくりした顔をして
 「どうしてわかったんですか?」と言うので
 「貴女の顔に書いてありますからね」と言えば余計に驚いた顔の美人になった。

 そして出た答えは凶なのである。
 その内容と云うのはこの女性が段々とこの男性に満足出来なくなりその不満がある日爆発し蜜月もそう遠くない頃には終わりを迎える、為に結婚までには至らないことを告げると、意外にも

 「そうかもね・・・」との返事が帰ってきたので、こちらも自信を深めた。

 どんなに美人でも女と云う生きものは、常に男や夫から愛の言葉を発されていないと飽きられてしまう生きもののようである。
 答えが満足のいく結果であろうとそうでない答えであろうと料金はいただくのもこの仕事であるが、こちらの拒否で今まで受け取らなかった相談者も50人位はいるかも。

 相談と云っても信頼関係の無い者に相談はしないだろうし、信用して相談を依頼するのが筋道であるから、その中身が理解できない者からの相談は拒否することにしている。しかもサ−ビス業でもないから。



そして次に来たのは年配の御婦人である、
 「こんばんはみてください」とのことだが、顔を見れば信仰をしていることがわかる、しかも長いと観たがそのことには触れずに、「何を占いましょうか?」と問えば、やはり
「家で神さん信仰をしていますが最近背中に何かくっついてその内はずれるだろうと思っていたが全然取れないのでどうしてか? またそれが今何であるかわかりますか?」とのこと。

 そこで顔と背中を観てみると神さんの眷属と小さな子供がいるではないか、この為の霊障害である。
そこで、
 「落とし損ねた水子とあなたが祭っている神さんの眷属が怒っているようですが」と言うと返ってきた答えは、
 「やはりそうか」とのことである。一心になり信心していても天部の神の怖さは起るのだ、そこでこの憑き物をはずすべく詳しく書いて手渡してみると
 「おおきに」と言い見料を置き帰って行った。

 信仰していても祟りはある、特に天部の神は怖いのであるが何にも知らぬ素人の何と多いことかと思う。
 別に人に無理して教える義務も必要性もないと考える今日この頃である。




 翌日は朝から企業の依頼で出張相談会に参加した。もちろん大先輩占い師であり心の師匠でもあるT先生の紹介である。他にもう一人この先生の弟子で
ある占い師の人と3人で熊本市内の中心部にある会社の新年会に招待された。
 何しろ出てみてビックリしたのはなんと200人はいるのではないかと思われるその人数、出席するのも今回初めてであったがその200人の今年の運勢をたった3人で観ることになるのだ。

 一人で60人以上を限られた時間で占うことになったが、一人に対して僅かに2分から3分位の時間で「運勢」を観ることになったのである。その前に、

 新年会が終わりの挨拶に移り我々の紹介になり愈々相談となった。しかし全部の人が頼む訳でもなかったので5分くらいの時間がとれたのは良かった。ただ「運勢」と云うことで相手は何でも話したがらない、当然であろう「運勢」と聞いて尚更「当たるだろうか?」との心の中が見える、しかし自分としては
霊視でも断易でも姓名断でも変化自在だし街で毎日真剣勝負で鍛練されているのでどうってことはなくスム−スに仕事ができた。


 後で聞いたのだが自分の占断が一番人気があったと言われた?そのせいなのか他の2人はゆっくりしているのに自分の所には多くのひとが来ていた事
があとでわかったからである。
 終われば疲れがドッと出て眠気さえ覚える今回の出張占断であった。

 紹介して戴いた大先生に感謝申し挙げて会社を出たのは15時すぎていた。

 そしてこの日はサテンに行って暫く休んだあと再び街占のいつもの場所へと向かっていた。


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